Androidで利用できる電子メールサービスには、GoogleのGmailや携帯電話会社が提供する「spモードメール」などのキャリアメール、SMS、その他のISPや会社、学校などのメールアドレスなど、さまざまなものがあり、どれを使ったらいいのか分かりにくく、結局今まで使っていたメールアドレスを惰性で使い続けてしまいがちだ。
この記事では、それぞれの特徴と使い分け方を解説するぞ。

Gmail

Androidで利用するメールとして一番オススメなのはGmailだ。
7GB以上もの大容量のメールボックスが用意されており、受信したメールを全てサーバ上に保存しておいて、自宅や仕事場のパソコンなど複数の端末からいつでもアクセスできるので便利だ。
また、広告やウイルスなどの迷惑メールを無視するフィルタ機能も非常に高性能なので、携帯電話以外では使わない場合でも、キャリアメールなどより快適に利用できる。
Android用の公式アプリは、届いたメールが即座に通知されるプッシュ配送に対応するなど、使い勝手も上々だ。標準機能となっているだけあって、関連する補助アプリも多い。
使い勝手の点では目立った欠点はないが、メールの内容や相手が解析されて広告表示などに利用されていることから、プライバシーの侵害を懸念する声もある。浮気相手のアドレスが本妻のGoogle+の知り合い候補に表示されてバレてしまうなんてことがあるかもしれないので、用途に応じてアカウントを使い分けるなどの予防策は講じておいた方がいいだろう。

キャリアメール

spモードメールやauのezweb.ne.jpのメールなど、携帯電話会社が提供するメールサービスは、端末上の独自アプリでしか利用できず、アプリの使い勝手もGmailなどと比べてイマイチだ。
迷惑メールのフィルタリングが貧弱なため、キャリアメール以外からのメールを全て受信拒否する設定にしてしまっている人が多く、こちらもキャリアメールを使わざるを得ないことがあるが、それ以外の相手との連絡には敢えて利用するメリットはあまりない。
また、携帯電話キャリアを乗り換えるとキャリアメールは使えなくなってしまうため、MNPによる端末代の値引きなどを活用しにくくなってしまうという難点もある。
従来の携帯電話でキャリアメールを多用していた人も、Androidに乗り換えたらぜひGmailをメインにした体制への移行を検討しよう。

SMS(Short Message Service)

SMSは携帯電話の電話番号に宛てて短いメッセージを送信する機能だ。データ通信を使わないので、インターネットに接続されていない状態でも送受信が可能だが、送る側では1通3円程度の料金がかかる。送れる文字数も日本語を含む場合70文字までとかなり少ない。
このように難点は多めだが、少しでも速く連絡を取りたい場合や、相手の電話番号しか知らない場合、従量制プランでデータ通信を無効化して料金を節約したい場合などには役立つだろう。

MMS(Multimedia Messaging Service)

MMSはSMSをベースに長文や画像、音声、動画などを含むメールを送れるようにした規格だ。メールの着信はSMSと同様の仕組みで通知され、本文はデータ通信で転送される。
海外では広く普及している規格だが、日本ではあまり普及していない。
ソフトバンクの「S!メール」はMMSの仕様に準拠しているが、Androidでは独自アプリからしか送受信できない。auはiPhoneの発売に伴い近々対応する予定だが、ドコモには今のところ対応予定がない。
SMSと違ってメールアドレスも用意され、一般的な電子メールサービスからのメールを受取ることもできるため、iPhoneユーザーでは愛用者も多いが、AndroidではGmailの使い勝手が良いので、あえて使う必要はないだろう。

一般的な電子メール

Yahoo!メールやMSNのHotmailのような他のネットサービスや、OCNやBIGLOBEなどのインターネットサービスプロバイダ(ISP)、会社や大学などの組織でも、利用者や所属する人にメールサービスを提供していることがある。
これらのメールサービスでは「SMTP(Simple Mail Transfer Protocol)」や「POP(Post Office Protocol)」などの広く普及している通信規約を利用しているので、さまざまな電子メールクライアントプログラムでメールの送受信を行える。Androidにも標準の「メール」アプリや「K-9 Mail」などの対応アプリが存在するので、パソコンで使っていたこれらのメールアドレスを出先で利用可能だ。

Hotmailのような無料サービスには、Gmailと比べて特に優れている点はないが、ISPや所属組織のアドレスの場合、簡単にいくつも取得することはできないため、相手からの信用を得やすいという利点がある。特に、所属組織のメールアドレスは「@」以降がその組織のドメイン名になっているので、その組織に所属していることが分かりやすい。
仕事などでは、Gmailやキャリアメールよりも、これらのメールアドレスを利用した方がいいだろう。

これらのメールサービスの難点は、メールがサーバに届いた時に即座に通知が届くプッシュ型配送ができないことだ。「IMAP IDLE」という仕組みに対応したサーバなら同様のことが可能だが、対応していないサービスが多い。
サーバへの問い合わせを1分など短い間隔で行うようにすれば、リアルタイムに近い受信が可能になるが、電池消費が激しくなってしまう。
すぐに返信が必要なメールはGmailやSMSに送ってもらうなど、適宜使い分けよう。