個人情報を不正送信する有害アプリの報道、最低被害者数6万6千人は誇張?

sumahoroei端末に保存された連絡先などの情報を不正送信する有害アプリがGoogle playストアで公開され、多くのユーザーが被害に遭っているとの報道があった。調査したセキュリティ企業の発表によると、2つの開発元による16個のアプリで合計6万6600~27万1500件のダウンロードがあったという。
マーケットのダウンロード数は「500~1000」や「1000~5000」のように表示されるため、10000~50000件ダウンロードされたアプリが4つ、5000~10000件が4つ、1000~5000件が6つ、500~1000件が1つ、100~500件が1つだとすると、最小ダウンロード数が10000*4+5000*4+1000*6+500*1+100*1=66600、最大値の方が50000*4+10000*4+5000*6+1000*1+500*1=271500件となり、発表内容と一致する。

大手マスコミの報道では、被害者数が最低でも6万人を超えるような表現になっていることがあったが、一人で複数のアプリをインストールしてしまって重複してカウントされることもあるので、最低被害者数は1万人とすべきだろう。一方、すべてのアプリが表示されたダウンロード数の範囲の最大値ぎりぎりになっていることなどまず有り得ないので、最大27万人というのは極端に過大評価した数値だと言える。
また、このような有害アプリは、少しでもダウンロード件数を稼いで目立つために、タイトルや概要を多言語化していることもあるので、欧米や中国語圏などのユーザーも多数カウントされている可能性がある。

いずれにせよ、Androidアプリには有害な物も存在することは事実だ。「アクセス許可」の表示をよく確認して、アプリの機能の実現に必要ないはずの権限を要求するアプリは無闇にインストールしないように注意しよう。
また、自分を連絡先に登録している知人が情報をバラまいてしまう可能性もあるので、セキュリティ意識の低そうな知り合いやよく知らない人には電話番号などの重要な情報は知らせず、「Skype」や「LINE」のようなインターネット通話アプリで連絡を取るなどの対策も必要かもしれない。

アプリのパーミッションをチェックして有害な動作を防止しよう 特集
個人情報を外部に送信する日本語のAndroidアプリに注意 - @IT
スマホアプリ 情報大量漏洩か NHKニュース

IT系ニュースサイトでは、「ダウンロード数は6万6600~27万1500件」との表現となっているが、NHKのサイトでは「少なくとも6万人以上が利用」のような誤った表現になってしまっている。

【知り合いの利用でアウト】 Android「○○ the movie」アプリ問題、数百万人規模で個人情報が漏れた可能性 │ あんどろいど速報

最大被害者数27万人というほぼ有り得ない数字と1人につき平均50件の個人情報を流出させたという根拠のない仮定からでっち上げられた「数百万人の個人情報が流出したおそれ」という出鱈目な数字を強調している記事もある。

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2012年04月14日14時45分 公開 | カテゴリー: セキュリティ | キーワード: | Short URL
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