無料化されたQuickOfficeの実力は?6大オフィスアプリ機能比較

先日、Googleが買収していたモバイルOS用オフィス文書編集アプリ「QuickOffice」が無料化されたことが注目を集めている。
AndroidにはQuickOfficeの他にも「ThinkFree Mobile Pro」「OfficeSuite Pro 7」「KINGSOFT Office」「Smart Office 2」「DocumentsToGo」などのオフィスアプリが存在するが、QuickOfficeが無料化された今、安くないお金を払ってまで利用する価値はあるだろうか?
今回は、これら6つのオフィスアプリについて、既存ファイルを読み込んだときの再現度や編集機能、タッチパネルや外付けキーボードでの操作性など、様々な観点で徹底比較してみたぞ。

なお、OfficeSuite Pro 7、KINGSOFT Office、SmartOffice 2、Documents ToGoの4つは、Amazonアプリストアの「本日限定無料アプリ」に登場したことがある。これらのアプリは、現在Amazonからダウンロードできるバージョンを試用したが、OfficeSuite Pro 7とSmartOffice 2はGoogle Playストアの最新版より多少バージョンが古めだったため、最新版の機能とは食い違いが生じている可能性がある。
この2本に限らず、いずれのアプリも今後のバージョンアップで改良や仕様変更が為される可能性はあるので、購入を検討する際はバージョンアップ履歴などにも目を通して吟味するといいだろう。

Quickoffice – Google Play の Android アプリ

OfficeSuite Pro 7 (PDF & HD) – Google Play の Android アプリ

DocumentsToGo Full Version Key – Google Play の Android アプリ

KINGSOFT Office KEY – Google Play の Android アプリ

ThinkFree Mobile Pro – Google Play の Android アプリ

Smart Office 2 – Google Play の Android アプリ



ワープロ

まずはMicrosoft Wordに相当するワープロ文書編集機能だ。
太字や斜体字、色付き文字など文字装飾や、中央寄せ、右寄せ、箇条書きなどの段落レイアウト、画像や表、数式の埋め込み、複数列への段組などを含むファイルを読み込ませてみたところ、段組以外はどのアプリもで一通り表示できた。
数式については、Microsoft Wordで作成したファイルはどのアプリでも表示されたが、LibreOfficeで作成したファイルの数式は表示できないアプリが多かった。
また、数式を含むファイルを読み込んで編集・保存した場合、数式が画像に変換されてしまう物が多かった。その他の要素についても、既存のファイルを編集して保存する場合には注意が必要だろう。
段組レイアウトは、正常に表示できるアプリは限られていたが、多くのアプリではレイアウト情報を保持したまま保存が可能だった。
編集機能では、文字装飾や画像の挿入はほとんどのアプリで可能だったが、表や図形の挿入機能まで備えているアプリは限られていた。

QuickOfficeOfficeSuite Pro 7KINGSOFT OfficeThinkFree Mobile ProSmartOffice 2Documents ToGo
6.1.1807.2.12965.65.0.1309252.0.1734
\0\1,489\980\868\937\1425
文字装飾
文字レイアウト
画像挿入×
表の挿入×
図形挿入××××
リンク/ブックマーク再現×
リンクなど挿入××
数式の再現
数式の保持×××
段組の再現×××
段組の保持×
ツールバーなど×
キーボード操作××


001

QuickOfficeは、画像の回転や表のセルの結合など細かい機能まで作り込まれている部分がある一方、リンクやブックマークの挿入など未搭載の機能も見られた。再現力や操作性は、トップと言うほどではないが比較的高めだった。


002

OfficeSuite Pro 7は、改ページや段組なども正しく表示されるなど再現力が高く、図形を挿入できるなど編集機能も充実していた。左右スクロールするツールバーの操作性も上々だ。


003

KINGSOFT Officeは比較的多機能で再現力も悪くなかったが、画像を含む範囲をコピーしてもテキストしかペースト出来ないなどの不満点があった。


004

ThinkFree Mobile Proは、図形の挿入など機能は充実しているが、文字装飾などの機能を呼び出すために毎回3タップしなければならなかったり、外付けキーボードでCtrl+Cなどのショートカットキーが使えないなど、操作性はイマイチだった。


005

SmartOffice 2は、太字、斜体字、下線以外の文字装飾を付加できないなど編集機能が貧弱で、外付けキーボードでのShift+矢印キーによる範囲選択が出来ないなど、操作性も低めだった。


006

Documents ToGoは、画像挿入が出来ないなど編集機能は貧弱で、文字装飾などの機能もいちいちメニューボタンやロングタップから実行しなければならず、機能・操作性ともにイマイチだが、既存ファイルを編集・保存したときの内容の損なわれにくさは高かった。


表計算

Excelに相当する表計算スプレッドシートの表示・編集機能では、数式セルで使える関数への対応状況が気になるところだ。文字装飾や画像などは単なる飾りで再現されなくても構わない場合が多いが、表のデータが正しく表示されないのでは困ってしまう。
いずれのアプリも多くの関数に対応していたが、未対応の関数もあった。未対応の関数を含むファイルを編集・保存した場合、式の内容が失われてしまうアプリがあるので注意が必要だ。
また、セルの背景色や文字装飾などの基本的な見た目は、どのアプリも十分に再現出来ていたが、図形まで表示できるアプリは少なかった。

QuickOfficeOfficeSuite Pro 7KINGSOFT OfficeThinkFree Mobile ProSmartOffice 2Documents ToGo
関数再現○(9/13)○(8/13)◎(11/13)○(10/13)○(8/13)○(9/13)
未対応関数の保持××(無断で値に置換)○(一部喪失)×(含むと編集不可)
画像・図形再現×
画像挿入×××
グラフ挿入××
書式再現
文字装飾・配置
セル結合××
操作性(連続入力など)×
キーボード対応○(Tab未対応)××


007

QuickOfficeは、画像の挿入には未対応だが、それ以外の機能は一通り揃っており、外付けキーボードでの操作性も高め。また、未対応の関数を含む数式セルも式の内容を維持したまま保存可能だ。


008

OfficeSuiteは画像の挿入にも対応し、操作性も上々。未対応の関数を含む数式セルの内容が失われてしまうのが難点だ。


009

KINGSOFT Officeは、編集機能も充実し、関数の対応度も高めだったが、未対応の関数を含むファイルを開いたときに、式と共に保存されていた計算済みの値に勝手に置き換わってしまい、知らない間に式の内容が失われてしまう恐れがあるのが困りものだ。


010

ThinkFreeは、他のアプリで表示できなかった図形が表示できる場合があり、図形の挿入にも対応するなど編集機能も充実している。独自の数字キーボードを備えているが、外付けキーボードでの操作性には難があった。


011

SmartOfficeは、セルの編集時にEnterキーでの連続入力が出来ないなど操作性に難が多く、編集機能もイマイチだった。


012

Documents ToGoは、操作性は悪くないが、画像の埋め込み表示に対応しておらず、未対応の関数を含むファイルは編集自体が出来ないなど、機能は貧弱だった。


プレゼン

PowerPointに相当するプレゼンテーション機能は、ワープロや表計算よりも複雑なためか、一昔前までは編集できるアプリ自体が限られていたが、最近は本格的な編集に対応するアプリも増えてきている。

既存ファイルの再現力においては、画像や表の表示はどのアプリも問題なかったが、グラフ表示への対応状況はまちまちで、表示できるアプリでも見栄えにバラツキがあった。
編集機能においては、画像だけでなくあらかじめ用意された図形の挿入機能も備えているアプリが多かったが、図形のバリエーションには差が見られた。

QuickOfficeOfficeSuite Pro 7KINGSOFT OfficeThinkFree Mobile ProSmartOffice 2Documents ToGo
画像再現
グラフ再現××
文字装飾××
段落レイアウト××
画像挿入×
図形挿入◎(155)◎(114)○(32)◎(96)○(15)×
シートのテンプレート◎(11)○(4)◎(11)◎(11)×(2)×
シートの移動・削除操作××


013

QuickOfficeは、テキストの装飾や画像・図形の挿入などを完備し、挿入可能な図形のバリエーションも150以上と充実するなど、高い編集機能を備えている。グラフのテキストが妙に小さいなど、再現力には若干の難があった。


014

KINGSOFT Officeも一通りの機能を備えていたが、画像の回転が出来ないことや、挿入できる図形のバリエーションの乏しさで見劣りしている。


015

ThinkFreeは、他アプリには無い表や動画の挿入機能を備えるなど編集機能は充実しているが、既存ファイル内のグラフが正しく表示されないなどの難点があった。


016

ワープロや表計算は優秀だったOfficeSuiteだが、プレゼン文書はグラフの表示に未対応で、テキストの装飾も出来ないなど、あまり充実しているとは言えなかった。


017

Smart Officeは、ワープロや表計算に比べると健闘していたが、挿入できる図形のバリエーションが乏しいなど、上位陣と比べると見劣りする。


018

Documents ToGoは既存ファイルの表示は可能だが、編集はテキストの書き換えのみと極めて貧弱だった。


総合

QuickOfficeはプレゼン文書の編集機能が特に充実している他、ワープロや表計算も十分な機能を備え、操作性も高めだった。
KINGSOFT Officeは全体的に機能は充実しているが、ツールバーのアイコン数が多く目当ての機能を呼び出しにくく、動作もやや重めな印象だ。
ThinkFree Mobile Proは、ワープロ文書への図形挿入やプレゼン文書への表、動画の挿入など他アプリには無い編集機能も備えているが、ツールバーや外付けキーボード対応などの操作性に難があった。
OfficeSuiteはワープロの機能が特に充実し、表計算の機能も上々だが、プレゼンテーションの編集機能は貧弱。
SmartOfficeとDocumentsToGoは、前述の4つと比べると全体的に見劣りしていた。

QuickOfficeは、出先でのちょっとした編集だけなら十分に通用する機能を備えているが、他のアプリと比べて不足している機能もまだまだあった。Android端末だけで高度な書類作成を行ないたい場合は、ThinkFreeやKINGSOFT Office、OfficeSuiteなどを購入する価値はあるだろう。

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2013年09月27日21時41分 公開 | カテゴリー: 文書編集 | キーワード: | Short URL
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