【特集まとめ】アルバム全曲再生も可能なネットラジオ「Grooveshark」のAndroid版が正式リリース

ネットラジオ「Grooveshark」のモバイル版、「Grooveshark Mobile」が正式リリースになった。「指定した曲を再生できる」ということで、PC版では既に世界中で人気を集めているサービスだ。
Groovesharkの凄さを説明するには、まず、「指定した曲を再生できる」とはどういうことか、という点について説明する必要がある。現在のネットラジオ、例えばLast.fmは、「アーティスト名を指定すると、そのアーティストと似た曲を自動で選別して再生してくれる」という仕様だ。Perfumeを指定すると、同じ中田ヤスタカなcapsuleやMeg、エレクトロポップ繋がりでLady Gagaや、日本のエレクトロポップAira Mitsukiが再生されたりする。聞く側からすると、一長一短だ。「自分で曲を選ばなくても適当にBGMを再生してくれるから快適」「自分が知らなかった良い曲をかけてくれるから新しい音楽との出会いがあるかも」などの点では、Last.fmの仕様は歓迎すべきものだが、ただ、やはり、自分で曲を選べないので、「Perfumeのニューシングルを」「ニューアルバムを全曲」といった聴き方ができないのは寂しい。
「Grooveshark」の特徴は、「曲を検索し、指定した曲を再生する」という、当たり前のようで、Last.fmなど他のネットラジオではできない再生方法が可能である点。洋楽のみならず、ある程度メジャーな邦楽なら大体揃っているので、「Perfumeのニューシングルを」「ニューアルバムを全曲」といった聴き方も可能だ。

「Grooveshark」の法的問題

……という説明で、「それは違法なのでは」と思った人向けに、法律上の問題についても指摘しておこう。興味がない人は、この段落は飛ばして下部「目次」から利用方法解説のページに進んで欲しい。
「Grooveshark」は、自分たちのサービス運営は適法であると主張している。「DMCA」と呼ばれるアメリカの法律上、著作権者から警告を受けた段階でファイルを削除すれば法的に問題は無いはずだし、自分たちが違法ならばYouTubeも違法だ、というような話だ。ただ、四大レコード会社はそうは考えておらず、Groovesharkとレコード会社の間では訴訟が続いている。どのような結論が出されるかは、まだ分からない。「YouTube(の運営)は適法だがGrooveshark(の運営)は違法」という結論もあり得る。
ただし、上述の問題は、あくまで「Grooveshark(の運営者)とレコード会社の間」の話。Groovesharkで音楽を聴くユーザーには関係がない。関係があるのは、日本の著作権法、特にいわゆる「ダウンロード違法化」「ダウンロード刑罰化」の問題だ。ただ、文化庁の見解によれば、YouTubeで動画を見ることは、「ダウンロード刑罰化」の施行後も適法。そして、YouTubeでの動画視聴を「適法」とする理屈は、そのままGroovesharkでの音楽鑑賞にも当てはまりそうだ。即ち、Groovesharkでの音楽鑑賞は、YouTubeでの動画視聴と同様、「ダウンロード刑罰化」の施行後も適法だと考えられる。これは、上述のDMCAを巡る戦いとは別の議論であり、例えば「Grooveshark(の運営者)は違法だけど、ユーザーによる音楽試聴は適法」という結論もあり得る。
しかし、ダウンロードは、「ダウンロード刑罰化」の施行により、10月1日以降は刑罰対象だ。GroovesharkサーバーからMP3ファイルを、「音楽を聴くために必要なキャッシュが自動生成された」を超えて保存すると、それはほぼ間違いなく、現時点でも「ダウンロード違法化」の対象であり、10月1日以降は「ダウンロード刑罰化」の対象となる行為だ。

参考

YouTube鑑賞に伴うキャッシュ生成が適法である理由については、2009年の「ダウンロード違法化」の際に公開された文化庁のQ&Aが詳しい。上記ページの「問10」だ。そして、今回の「ダウンロード刑罰化」は、「ダウンロード違法化」の対象(の一部)に刑罰を設けたもの。従って、「ダウンロード違法化」の対象外だったキャッシュ生成は、「ダウンロード刑罰化」の対象ではあり得ない。2012年版のQ&Aは、それを前提に「違法ではなく,刑罰の対象とはなりません」としている(問7-5)。

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2012年09月28日17時35分 公開 | カテゴリー: マルチメディア | キーワード:, , , | Short URL
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